いや?、表題のとおりなんですがw
マレー人って、日本人のイメージ(どんなやw)より、相当優しい気がします。
ある日。
わしのレンタルオフィス、Regusのドリンクコーナー(コーヒーや紅茶など飲み放題)で、ココアをうまそうに飲んでいる人がいたんですね。
コーヒーはイタリア製のコーヒーメーカー。紅茶、緑茶などはティーバッグで取り放題で提供されているわけですが、その日は巨大なココア缶が、で?んとテーブルにおいてあり、チャイニーズ系マレーシアンがうまそうに飲んでたんですね。
わし「をぉ、ココアあったんや!」
青年「のむ? 美味しいよ♪」
わし「ありがと! ごくごく。うむ、久しぶりのココアはハートにしみるのぅ♪」
青年「うまいよね?♪」
わし「しかしRegusも羽振りがいいのぅ。まさかコーヒー、紅茶に飽き足らずココアまで提供してくるとは・・・」
青年「あぁ、これ(ココア缶)、俺の。飲みたかったらいつでも飲んでいいよ♪」
と言って、颯爽と廊下に消えていったわけですがw
そして、また ある日(これはペナンに来たばっかりの頃の話)。
ホッチキスの芯がなくなったので買い出しに出たときのこと。
どこに売っているかも知らず、とりあえずコンビニで聞くことに。
ホッチキスは『すていぷらー』といいますが、芯はなんというか分からず、実物持参でw
わし「あの?、ホッチキスの芯(手で持って見せる)あります?」
店員「あぁ、はい。これ、どうぞ」
机の引き出しから、むき出しのホッチキスの芯の束をひとつくれる。
さすがマレーシア。
箱単位ではなく、ひと束ごとにミニマムに売るのか、と感心しつつ・・・
わし「いくら?」
店員「いいよ、あげる」
えっ・・・
これって、単に善意でくれたのか!?
明らかに、この人が仕事で使うホッチキス芯のおすそ分けw
わし「あっ、ありがとう。ただ結構 量使うから箱単位で買いたいんだけど・・・」
店員「あぁ、それならあそこのスーパーでいっぱい売ってるよ♪ それもあげるよ」
そして、またある日には、車のタイヤがパンクして困ってたら(わしはタイヤの交換したことないというw)、駐車場の人が交換してくれたり。
まぁ、わし。
日本という先進国から来たわけですが・・・
施されまくりですわw
(特に意味もなく、仏手柑、ブッシュカンという果物の写真w)
まぁ、そんなすんばらしいマレー人なわけですが・・・
車の運転になると豹変し、
・車の合流で入れてくれない
・自分が合流するときは、ぶつける勢いで割り込んでくる
など、また違った愛くるしさもありますw
すべて世は、こともなし♪
大野さんの住むマンションを、近くにあるコインパーキングに停めた車の中から見上げた。
来て…よかったんだろうか。
車から降りてマンションのエントランスに向かう足取りは、決して軽くはなかった。
来て、と言われれば大人しく来てしまうの?
これまでの自分にはなかったな。
大野さん、という人間が、俺をどんどん変えていく。
手慣れたロック解除の番号を押すと、すぐに大野さんが応えてくれた。
エレベーターに乗り、部屋のある階のボタンを押すと、すぐにエレベーターは上昇しだした。
目的階に着いて、エレベーターが開けば、大野さんが小さくドアを開けて、こちらを見ていた。
またこんな危ないことを…!
すぐに俺は大野さん部屋の前まで足を早めた。
するりと中に入れられて、玄関のドアを後ろ手に閉めると、大野さんの腕が俺の首にまわされた。
「ニノ……会いたかった。」
耳元で囁かれる声は、どの現場でも聞いたことがない、甘い声。
俺が、大野さんの腰に腕を回すのを待っている。
「ドアを開けて待つのは、やめてください。心臓に悪いです。」
「だって…待ってたから。お前、来てくれるかわかんねえし。ずっと部屋に1人でいたら、なんかすげえ不安になって…。」
その言葉に、はあ、っと1つため息をついて、俺は大野さんの背中を抱きしめた。
「あなたって人は…。」
そう言いながら。俺は。
…ほら、堕ちていく。
大野智、という泉の中に。
「お前は、何考えてんのかわかんない。見えない。だから不安になる。だから、こうして抱きしめてもらわないと、何も見えなくなる。」
そうして、大野さんが俺の唇を塞いだ。
「もっと来い、って言ってんのに。お前はこない。」
離した唇が、そう紡いで俺を真っ直ぐに見つめてくる。
「帰ってきてよ…。おいらのマネに戻ってよ。」
小さな子どものように見えたり。
ベッドの中では俺を男の瞳で射抜いて誘ったり。
くるくるとよく動く、その表情に。
戸惑っているのは、俺のほう、なんですよ。
少し困った顔で、俺は大野さんに首を傾げた。
「…上がっても、いいでしょうか。」
「あ…ごめ、疲れてんのに。」
大野さんは、それでも名残惜しそうにもう一度俺を抱きしめて、そっと体を離した。
そうして、俺に手を差し出した。
ぎゅ、っと俺の左手を握り、引っ張られると、俺は慌てて靴を脱いで大野さんの部屋に上がった。
リビングに通されると、置かれたテーブルの上には何種類かのパンがあって、コーヒーのマグカップも置いてあった。
「あ、そうだ。」
大野さんは、ニコっと俺に笑いかけると、
「これ、買ったから。」
魚の形をした灰皿を差し出した。
「なんの配慮ですか…。」
俺は思わず苦笑した。
「いつでも、吸っていいから。いま、コーヒー淹れてやる。」
俺の肩をソファに落とすと、大野さんは
コーヒーメーカーの方へとキッチンに走った。
手にした面白い形のその灰皿を見て、
「俺はあなたに雇われてる身なんですけど…。」
すっごく複雑な気持ちで、大野さんがどんな顔してこの灰皿を選んでくれたんだろう、なんて考えながら、大人しくコーヒーが運ばれてくるのを待った。
「な、このパン上手いぞ?」
それからも、大野さんは甲斐甲斐しく俺の世話を焼いていた。
だけど、時々眠そうに瞳がトロンとするのを見逃す俺ではなくて。
「ありがとうございます、いただきます。大野さん、寝ないと眠そうですよ。」
テレビでは釣り番組をやっていた。
時々、どんな釣り具でどんな魚を釣るのかとか、俺に教えてくれたりもする。
「ヤダ。寝るなら一緒がいい。」
「いや、俺はしばらくしたら帰りますから。」
「そんなの許さねえ。」
「大野さんっ。」
そんなやりとりをしながら、1時間くらいが経過していた。
時計はもう午前3時。
「今日の迎えは何時ですか?」
やんわりと腕を抑えて、俺はテレビのリモコンをとり、テレビを消した。
「おいらは今日、午後入り。」
お前は?
って聞かれて、
「俺は10時には相葉さんのところに…。」
と答えた。
「わかった。お前これから風呂入れ。」
「は?」
「着替えも買った。お前がここから出勤できるようにした。だから、お前は帰さねえ。」
眠い目をしばたたかせて、大野さんは俺を風呂へと再び引っ張り出した。